上の歯が出ている「上顎前突」とは?出っ歯のレベル・基準って?
通常、上下の歯を自然に噛み合わせた時、上の前歯は下の前歯より少しだけ前方に位置します。
ところが、上の前歯が、下の前歯よりも大きく前方に位置することがあります。そして、その距離が6mm以上になるものを「上顎前突」と定義します。一般には、「出っ歯」とも言います。
上唇から鼻の下にかけてが盛り上がったり、唇が閉じづらかったりと、顔貌への影響も懸念されます。
すでにお子様の出っ歯が気になる、あるいは上顎の大きさ・下顎の小ささが遺伝しないか心配という場合には、お早めに当院にご相談ください。
子どもの出っ歯の原因
遺伝
骨格は親から子へと遺伝します。
ご両親が出っ歯である場合、そうでない場合と比べると、その子どもも出っ歯になる可能性は高くなります。
お口の癖や悪習慣
指しゃぶりや爪噛み、舌で歯を押す癖などのお口回りの悪習癖は、出っ歯の原因の1つとなります。
わずかな力であっても、これらの癖や習慣を続けてしまうことで、出っ歯につながることがあるのです。
歯の大きさ・バランス・傾き
歯の大きさやバランスには、個人差があります。歯が大きいことでスペースが限られると、前歯が押し出されて出っ歯になることがあります。
また、前歯の位置は正しいものの、上の前歯が前方に傾斜する、下の前歯が後方に傾斜するといったことで出っ歯になることもあります。
子どもの出っ歯を治す方法(治療方法)
出っ歯は、歯科医院での治療が可能です。治療法としては、以下のようなものがあります。
ワイヤー矯正
主に12歳以上の2期治療で行う方法です。
金属のワイヤーとブラケットを使い、歯を正しい位置へと移動します。ほとんどすべての症例に対応できる万能性を持つ点が最大の特長です。
※当院では行っておりません
マウスピース矯正
マウスピースによって、顎の発達を促したり、悪習癖を取り除いたりすることで、永久歯がきれいにならぶためのスペースを作ります。
当院では、「マイオブレース」という子ども用のマウスピース型矯正装置を採用しています。1日の装着時間は「就寝中+日中の1時間」であり、幼稚園や学校に装着していく必要はありません。主に、5~12歳頃のお子様が適応となります。
出っ歯はトレーニング・自力で治せる?
出っ歯は自力で治せない
出っ歯は、自分で治すことはできません。
歯科医院でトレーニングによる治療を行うこともありますが、あくまで補助的な役割を期待するものであり、トレーニングを単独で行って出っ歯が改善するという可能性は極めて低くなります。
自力で押して治す…?無理な治療のリスク
無理な力を加えて自力で歯を動かす方法は、歯の根の吸収を招いたり、逆効果になることがあるため、絶対におやめください。
歯科医院でもワイヤー矯正などで歯に力を加えますが、歯の位置・角度、顎の骨の厚みなどを計算した上で行う根拠のある治療です。
出っ歯を改善したいという場合には、自力でなんとかできないかと考えるのではなく、必ず、歯科医院に相談してください。
出っ歯の予防はできる!歯が出ないための方法
「マイオブレース」を用いた癖改善
毎日、痛みのないマウスピースを、「就寝中+日中の1時間」装着します。お口回りの悪習癖を取り除き、顎の適切な発達を促すことで、永久歯がきれいに並ぶために必要なスペースを確保します。
簡単なトレーニング(アクティビティ)と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
トレーニング
ポッピング
普段から舌を正しい位置でキープするために、その舌の筋肉を鍛えるトレーニングです。
- 舌全体を、上顎に密着させ吸いつかせます。この時、舌先が上の前歯の根元に位置するようにしてください。
- 舌の位置をキープしたまま、口を開き、舌小帯(舌の裏にある筋)を伸ばします。
- 舌を上顎から離し、「タンッ」という音を鳴らします。大きな音を出せれば、しっかりとトレーニングができている証拠です。舌全体を上顎に吸いつかせることで、大きな音を出せます。
スラープ&スワロー
正しい嚥下(食べ物を飲み込むこと)を行うためのトレーニングです。
ストロー1本、きれいな水を入れたスプレー(化粧品コーナーに置かれているスプレー容器で結構です)を準備してください。
- 舌全体を、上顎に密着させ吸いつかせます。ポッピングの時と同様、舌先は上の前歯の根元に位置させてください。
- 上の犬歯(左右両側)の後ろにストローを置き、舌の裏側に当てた状態で、ストローが曲がらない程度に、上下の歯を軽く噛み合わせます。
- 唇の隙間から、スプレーを使って奥歯に向けて水を吹き入れます。
- 口の中に入ってきた水を、音をたてながら、お口の奥の方で吸い集めます。(「ジュー」「ズズー」という吸引音をだすようにしてください)
- 最後に、唇を開いたまま、集めた水をゴクンと飲み込みます。
※舌は終始、同じ位置に置いてください。
※トレーニングでは唇を開いたまま水を飲み込みますが、普段の飲食では唇を閉じて飲み込むようにしてください。